スーパーの飲み物売り場には、様々なミネラルウォーターが並んでいます。
水の安全性や健康・美容効果が注目されるようになり、水道水からミネラルウォーターなどに水を切り替える人も増えました。
実は同じように見えるものでも、硬度により「軟水」と「硬水」に分類できます。
今回は、ミネラルウォーターを利用する前に知りたい、硬度についてご紹介しましょう。
ミネラルウォーターの硬度とは?
水道水と比較すると、ミネラルウォーターにはCa(カルシウム)やMg(マグネシウム)などのミネラルが多く含まれています。
水1リットルの中に溶けているCaやMgの量を数値化したものが硬度です。
硬度が高い硬水には多くのミネラルが含まれていて、硬度が低い軟水にはあまりミネラルが含まれていません。
WHO世界保健機関の基準では0〜120ml/L未満が軟水、120ml/L以上が硬水とされるものの、通常は0〜100ml/L未満が軟水、100〜300ml/L未満が中硬水、300ml/L以上が硬水として販売されることが一般的です。
硬水と軟水の見た目は同じように透明で、ボトルの表示を確認しなければ判別はつきません。
味は硬水と軟水では大きく違います。
Mgなどが多い硬水はしっかりとした重みのある味で、人によっては苦みを感じたり、風味や臭いが気になったりすることもあるでしょう。
軟水は軽い口当たりで、まろやかな味が特徴的です。
軟水のミネラルウォーターとその特徴
スーパーで見かけるミネラルウォーターで軟水の商品とその硬度は以下の通りです。
- いろはす…硬度27.7
- 南アルプスの天然水…硬度約30
- 六甲のおいしい水…硬度32
- クリスタルカイザー…硬度38
- ボルヴィック…硬度60
基本的に、採水地が日本の商品は軟水であることがほとんどです。
クセのない味で口当たりが柔らかい、さらっとした水に感じられるでしょう。
しかし日本の水は軟水であるのに対し、海外の水は硬水ばかりと思っている人も多いです。
大まかに分ければ確かに海外の水は硬水であるケースは多いですが、アメリカ・カリフォルニア州北部のクリスタルカイザーやフランス・オーヴェルニュ山岳地方のボルヴィックは軟水に分類されます。
クリスタルカイザーは透き通った味で、バナジウムが含まれています。
バナジウムは体内で生成できないミネラルの一種で、美容や健康に効果的だと言われています。
ボルヴィックはミネラルバランスの良い軟水で人気です。
軟水の特徴とメリット
ミネラル分が少ない軟水は、クセがなく刺激が少ない点が特徴と言えます。
刺激の少ない軟水は肌や髪にも優しく、洗顔や洗髪にも適しています。
また、軟水はミネラル成分が石鹸成分の洗浄力を邪魔しないので洗剤の泡立ちが良くなる点もメリットと言えるでしょう。
もちろん飲用にする場合も、まろやかな口当たりで味わいも優しく、安心して飲める点が軟水のメリットです。
料理に使用する場合もミネラル成分が少ない軟水なら繊細な味つけが活かせます。
特に出汁を使う日本料理の場合、軟水のほうが美味しい出汁が取れ、お米を炊く場合にもお米に水が吸収されることを考えると味を邪魔しない軟水が適しています。
コーヒーや紅茶などの風味も、軟水で入れたほうが香りを楽しめるでしょう。
硬水のミネラルウォーターとその特徴
スーパーで見かけるミネラルウォーターの商品を、硬度の低い順に並べてみましょう。
- エビアン…硬度304
- ペリエ…硬度417
- サンペレグリノ…硬度674
- ゲロルシュタイナー…硬度1,302
- コントレックス…硬度1,468
- クールマイヨール…硬度1,612
同じ硬水に分類される商品でも、その硬度は304〜1,612と大きく違っています。
硬水の中でも硬度が低めのフランスのエビアンは、Caの摂取目的で飲んでいる人も多いでしょう。
後味はあるもののクセは少ないので、初心者にもおすすめです。
南フランスのペリエは炭酸が強めではあるものの飲みやすく、飲食店などでも提供されています。
炭酸が弱めのサンペレグリノはイタリアの硬水ミネラルウォーターです。
ミネラルが多く含まれている上品な味わいが特徴で、瓶に入って販売されています。
ドイツのゲロルシュタイナー、フランスのコントレックス、イタリアのケールマイヨールは硬度が1,000を超える硬水です。
ゲロルシュタイナーは硬水ならではの飲みにくさが強めの炭酸で緩和されています。
ダイエットをしたい多くの女性に愛されており、モデルやグラビアアイドルも愛飲している方が多いです。
コントレックスには、500mlにCaが牛乳1本分、Mgはアーモンド約9粒分も含まれているので、便秘解消のために飲んでいる人も多くいます。
コントレックスと同じフランスの硬水ミネラルウォーターであるクールマイヨールは硬度が高いのに飲みやすい点が人気です。
肌の調子を気にする人、Caを補給したい人が愛飲しています。
硬水の特徴とメリット
ミネラル分が多く含まれる硬水の味は、飲みなれれば美味しく感じるようになる人もいます。
硬水に含まれるCaには肉を柔らかくする効果があるので、肉の煮込み料理に硬水を使えば臭みが消え柔らかく仕上がります。
さらに、パスタも硬水でゆでるとコシが強くなるのでおすすめです。
硬水でコーヒーを入れると苦みが強くなるため、苦めのコーヒーが好みならおすすめします。
軟水か硬水か、ミネラルウォーターの選び方
軟水と硬水のミネラルウォーターにはそれぞれにメリットがあるので、好みによって使い分けましょう。
ただし、それぞれデメリットとなる部分もあるので、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
健康・ダイエット目的なら硬水
野菜不足、肉食中心の人はミネラルが不足しやすくなります。
硬水でCaやMgなどのミネラルを補給しましょう。
さらに、硬水には便秘に効果があるMg、腸の働きを助けるカリウムなどが多く含まれるので、ダイエット効果も期待できます。
胃腸が弱い人は軟水
ミネラルが豊富な硬水は刺激が強く下痢になる場合もあるため、胃腸が弱い人にとってはおすすめできません。
特に軟水に慣れている日本人にとっては、硬度の高い水が胃腸の負担となりがちです。
赤ちゃんや幼児なども胃腸の機能が未発達なので、負担とならないように軟水を使用してください。
特に下剤の成分にも使われるMgを多く含む硬水を飲むと、お腹が緩くなる場合があります。
和食や緑茶を楽しみたいなら軟水
野菜や米の素材の味を活かし、柔らかく仕上がる軟水を選びましょう。
和風の煮物など、煮汁の味を具にしみこませる料理にも軟水が適しています。
緑茶も軟水で入れると味がまろやかに、苦みが少なくなり、香りも楽しめるのでおすすめです。
パエリアやチャーハンには硬水
いつものご飯は軟水で粘りと米の香りを楽しみつつ、パラパラに仕上げたい時には硬水を使ってみましょう。
Ca成分が米の食物繊維を固くして、粘り気の少ないご飯に炊きあがるので、パエリアやチャーハンを作る時は硬水がおすすめです。
水は人間の体に欠かせないもので、毎日適量を摂取することが望ましいです。
ただ、なかなか毎日1〜2リットルも飲めない方は多いでしょう。
特に自分と合っていないものを選んでしまうと、飲むことも苦痛に感じられてしまいます。
自分にとって飲みやすく、使いやすいものを選んだ方がストレスなく、健康的に水分を摂取できるようになるでしょう。
ミネラルウォーターには軟水と硬水があり、それぞれ特徴が異なります。
使用するシーン、目的に合わせて上手に使い分けると良いでしょう。
ファストプロウォーターなど、ミネラルが補給できる日本人に合った水なども選択肢に加えてみてください。