人間が生きていく上で、「水」は必要不可欠な存在です。
水分が不足していると感じれば脳から指令で喉が渇くようになります。意識して摂取していなくても、最低限の水分は食事からも賄えているものです。
しかし、健康と美容を意識するなら「質の良い水」を積極的に摂取していく必要があります。
まずは水が持つ役割と、水の選び方についてご紹介していきましょう。
人間の命と水の関係性
最初にご紹介した通り、人間が生きていくには水が必要です。
なぜなら、人間の体を構成しているもののほとんどが水でできており、その割合は赤ちゃんだと体重の約75%、大人だと体重の約60~66%だからです。
体重の半分以上は水分で構成されているため、水分が不足していると体の機能がうまく働かなくなり、水を一切取らないと1週間も経たずに死に至ってしまう可能性があります。
人間は食べなくても睡眠時間の確保と水分摂取ができていれば2週間以上は生存することができると言われています。
当然食べることも大切ですが、人間の体は食べ物以上に水分がないとすぐに機能性が崩壊してしまうのです。
人間の体は水分不足には敏感に察知し、SOSのサインが出るようにしています。
例えば体重に占める水分の割合が約2%不足していると、喉が渇いてきます。
普通ならここで水分を取れば他の機能に支障をきたすこともありませんが、3%不足してしまうと喉の渇きだけでなく、食欲不振やボーッとしてくるなど、内臓や脳に影響が出始めてくるでしょう。
さらに、4%以上不足してくるとイライラや体温上昇、疲労困憊などの症状が表れ始め、5%以上になると頭痛や吐き気を催すようになります。
7%以上不足すると不安感や幻覚といった精神症状や血圧低下、頻脈などが発生し、20%以上不足すると命を落としてしまいます。
1日に必要な水分量は?
では、1日に水をどれくらい摂取した方が良いのでしょうか?
1日に必要な水分量は、水分の排出量と水を飲む以外の摂取量から算出できます。
まず大人が1日に水分を排出する量は約2.5リットルと言われています。
2.5リットルの内訳は下記の通りです。
・呼気…0.5リットル
・汗…0.5リットル
・尿や便…1.5リットル
息を吐く時に体内の水分が水蒸気となって吐き出されます。
夏になると汗の量も増えるため、より水分不足には気を付けなくてはなりません。
水分の摂取量は食べ物が約1リットル、代謝で約0.5リットルの水分が生まれるため、約1.5リットル摂取していることになります。
排出する量約2.5リットル、飲み物以外から摂取している量約1.5リットルになるため、不足している約1リットルは最低でも摂取しなくてはいけない量です。
ただし、ファスティングをしていて食べ物から水分が摂取できない場合、もしくは健康や美容を意識している場合は、倍の約2リットルを摂取した方が良いでしょう。
ミネラルウォーターは本当に質が良いのか?
市販されているミネラルウォーターには、「名水」を使っているものも多く、そういった部分を考慮して購入されている方は多いでしょう。
しかし、ミネラルウォーターだからと言って必ずしも絶対に質が良いというわけではありません。
厚生労働省が定める水道水の水質基準項目に「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」があり、10mg/L以下と決められています。
硝酸態窒素は植物プランクトンや藻類の貴重な窒素源として役立っていますが、人間が多量に摂取してしまうと血液中のヘモグロビンが酸化してしまい、酸素がうまく運べなくなって酸欠を引き起こしやすくなると言われているのです。
市販されているミネラルウォーターは主に地下水から汲み上げた名水が使われているものもあります。
名水の中には硝酸態窒素が含まれているものもあるため、ミネラルウォーターだからと言って完全に質が良いわけではないのです。
人間にとって良質な水の選び方
市販されているミネラルウォーターを安易に選ぶのではなく、しっかりと水に関する正しい知識を備えた上で、良質な水を選んでいかなくてはなりません。
では、人間にとって良質な水はどんな点に注目して選べば良いのでしょうか?
有害な物質が一切含まれていない
当たり前のことではありますが、有害な物質が一切含まれていないことは非常に重要です。
先ほど説明した硝酸態窒素以外にも、塩素やカビ臭物質、細菌(エキノコックス・クリプトスポリジウムなど)、赤サビ、鉛、トリハロメタン類、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ヒ素、農薬類は水に含まれやすいため、しっかりと取り除かれた水を選ぶ必要があります。
加熱殺菌されていない
飲料水は基本的に加熱殺菌が施され、安全に飲める状態でしか販売することはできません。
ただ、加熱処理を行ってしまうと水に含まれた酸素や炭酸ガスが失われてしまい、体内吸収がスムーズに行かなくなる可能性があります。
一方、加熱殺菌されていない水は酸素濃度が濃く、体内に吸収されるスピードが速いため、普通の水を飲むことが苦手な人でも飲みやすくなるというメリットが得られます。
加熱処理をしないと危険なのでは?と思われてしまうかもしれませんが、加熱処理はあくまでも手っ取り早く殺菌することが目的であり、非加熱でも手間を掛ければ安全な水として販売できるのです。
非加熱にはろ過や紫外線殺菌、オゾン殺菌などがあり、法律による安全基準も明確に定められています。
加熱処理よりも手間がかかるだけでなく、コストもかかってしまうため、多くのミネラルウォーターは加熱処理が選ばれています。
良質な水を選ぶなら、非加熱処理の水を選んだ方が良いでしょう。
酵素活性力が高い
酵素活性力とは酵素が持っている触媒の力で、酵素の働きを最大限に引き出すために必要な力です。
水にも酵素を活性化させる力を持っており、酵素によって引き起こされる化学反応がスムーズに行われるようサポートしてくれます。
しかし、酵素活性力が低い水を選んでしまうとスムーズに行われなくなってしまうことはもちろん、さらに健康面や美容などで影響が出てしまう可能性もあるのです。
酵素活性力はpHや温度、基質(酵素による化学反応で触媒された物質)が関わってきます。
条件が揃っていないと酵素活性力は低くなってしまうため、できるだけ酵素活性力の高い水を選ぶようにしましょう。
細胞浸透力が高い
水分を体内に摂取したとしても、細胞浸透力の低い水だと吸収されないまま体外へ排出されてしまう可能性があります。
体の組織は本来の機能で働くためには水が必要となりますが、組織の中でも優先順位は決まっており、もし水分不足に陥ってしまうと優先順位が低い組織から不調を起こし始めます。
例えば、脳は最も優先順位が高い組織になるため、重度の水分不足に陥らないと症状は表れにくいですが、優先順位が低い筋肉や関節、皮膚、毛の組織は軽度でも脱水症状が表れる組織です。
特に美容面を意識している方は皮膚や毛の組織は優先順位が低くなっているため、できるだけ脱水が起きない状況を作る必要があります。
細胞浸透力が高い水を飲むと、効率的に水が細胞内へ行き渡るようになるため細胞浸透力が高い水を選ぶべきです。
また、人体を構成する細胞には「アクアポリン」と呼ばれる水の通り道が存在しています。
水の通り道ではあるものの、実は細胞内へ通りやすい水と通りにくい水があり、通りやすい水こそ「細胞浸透力が高い水」と言えるのです。
しっかりと細胞内へ水分を届けるなら細胞浸透力にも配慮して選ぶようにしましょう。
界面活性力が高い
日本人は昔からあまり油を使わない和食を取っていましたが、欧米の食文化が入ってからは油を好んで取るようになりました。
油は人体にも必要な成分ではあるものの、加工過程で体に悪い油が作られてしまい摂取しやすい環境へと変化しています。
特に中性脂肪の蓄積につながる「過酸化脂質」や、血管を詰まらせてしまう可能性が高い「トランス脂肪酸」、動脈硬化などの心疾患の原因にもなる「過剰なリノール酸」には十分に注意しなくてはなりません。
これらの脂を体内で溶かし、排出させるためには水が持つ「界面活性力」が役立ちます。
体内の脂を分解し汚れを落とすのに使われる洗剤などには「合成界面活性剤」という成分が含まれているのですが、実は水にも人工ではなく天然の界面活性力を持っており、脂を溶かして落とせる機能も持っているのです。
水の種類によって界面活性力は異なるため、界面活性力が高いものを選んだ方がデトックスやファスティングで役立ちやすいと言えるでしょう。
クラスターが小さい
クラスターとは、分子の集まりを指す言葉です。
水は2つの水素分子(H)と1つの酸素分子(O)から構成されています。
この分子がいくつか集合することでクラスターになるのですが、クラスターが大きければ大きいほど電気的な界面活性力が衰えてしまい、油のクラスターと反発してしまいます。
逆に、水のクラスターが小さいと界面活性力が強くなるため、上記で紹介したように体内の不要な脂も落としやすくなるのです。
水のクラスターは基本的に長い年月をかけないと誕生しません。
例えば、世界的にも名水と名高い「ノルデナウの水」や「トラテコの井戸水」、「ルルドの泉」は75.4Hzと非常にクラスターが小さいことでも知られています。
選ぶ時は水クラスターの小ささにも意識を向けてみましょう。
日本には現在多種多様な水が販売されています。
その中から本当に良質な水を選ぶことは極めて難しいと言えるでしょう。
しかし、今回ご紹介してきた6つの項目を参考に選べば、積極的に取り入れたい水が見つかります。
・有害な物質が一切含まれていない
・加熱殺菌されていない
・酵素活性力が高い
・細胞浸透力が高い
・界面活性力が高い
・クラスターが小さい
健康や美容面を意識されている方は特に、毎日摂取する水の質について考えてみましょう。
より安全で、より美味しく、より体が喜ぶような水を選び、健康と美容に役立ててみてはいかがでしょうか?